※この物語はフィクションです。実在の場所を題材にしていますが、登場人物・出来事はすべて架空のものです。
「なあ。さっきから、同じ木を見てないか?」
助手席の窓に顔を向けたまま、健太が言った。
「同じ木?」
運転していた翔太は、ハンドルを握ったまま笑った。
「気のせいだろ」
「いや。ほら、あそこ」
健太が指差した。
車のヘッドライトが、道路脇の木々を順番に照らしていく。
黒々とした幹。
濡れた苔。
絡み合った枝。
どれも似たように見える。
「同じに見えるだけだって」
翔太はそう言った。
深夜の国道139号線。
通称、樹海ライン。
夏だというのに、車内は妙に寒かった。
エアコンの設定温度は二十五度。
それでも、翔太は腕に鳥肌が立っているのを感じていた。
二人は大学時代からの友人だった。
その夜、河口湖周辺で飲んだ帰り、少し遠回りをして青木ヶ原樹海の近くを通っている。
心霊スポットを見に来たわけではない。
ただ、翔太が以前から言っていた。
「一度くらい、夜の樹海を走ってみたい」
その言葉を健太が覚えていた。
それだけだった。
「でもさ」
健太が言った。
「樹海って、昔の噂じゃ、方位磁針が狂うんだろ?」
「完全に狂うわけじゃないらしいぞ」
翔太は答えた。
「磁鉄鉱が多いから、場所によって影響を受けることがあるって話だろ」
「なんだ。詳しいじゃん」
「ネットで見ただけ」
翔太は笑った。
だが、笑いながらも、少しだけ不安になっていた。
この辺りは、昼間に通ったことがある。
富士山の麓に広がる広大な原生林。
約1200年前の富士山噴火で流れ出した溶岩の上に森が形成されたといわれ、富岳風穴や鳴沢氷穴などの観光名所もある。
昼間なら、観光客もいる。
遊歩道を歩く人もいる。
けれど。
夜になると、その印象がまるで違った。
道路の両側に広がる森は、ただ暗い。
深い。
そして、静かだった。
「なあ」
健太が言った。
「ちょっと止めない?」
「何で?」
「トイレ」
「トイレって……この辺、何もないだろ」
「分かってる。でも、もう限界」
健太が苦笑した。
「少し先に駐車場があったはずだぞ」
「そこまで持たない」
「マジかよ」
「すぐ戻るから。ちょっとだけ」
翔太はため息をついた。
「おい、勝手に森の中へ入るなよ」
「分かってるって。道路から離れない」
「本当にすぐ戻れよ」
「分かった」
翔太は道路脇の安全な場所に車を寄せた。
エンジンを切る。
ヘッドライトが消えた。
途端に、車内が異様なほど静かになった。
二人とも黙った。
エンジン音が消えただけではない。
風の音もない。
虫の声もない。
森の中に、すべての音が吸い込まれているようだった。
「……なんか、変じゃない?」
健太が言った。
翔太は答えなかった。
フロントガラスの向こうは、ほとんど何も見えない。
ヘッドライトを消しただけで、そこは完全な闇になっていた。
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
健太がドアを開けた。
車内に冷たい空気が入り込む。
「絶対、森の中には入るなよ」
「分かってるよ」
健太がドアを閉める。
翔太は一人になった。
暗闇の中で、エンジンを切った車だけが、まるで森に取り残されたように感じられた。
翔太は腕時計を見た。
午前一時二分。
健太が戻ってくるまで、ほんの数分だ。
そう思っていた。
そのとき。
車の外から。
カサッ。
と、落ち葉を踏む音がした。
翔太は息を止めた。
健太が歩いた音だ。
そう思おうとした。
だが。
音は車の後ろから聞こえた。
カサッ。
カサッ。
誰かが、車の周囲を歩いている。
「……健太?」
翔太が声をかける。
返事はない。
翔太は車内から動けなかった。
カサッ。
また音がした。
今度は、車の右側。
一歩。
また一歩。
何かが、車をゆっくり回り込んでいる。
翔太は窓の外を見ようとした。
だが、暗すぎて何も見えない。
「健太?」
もう一度呼んだ。
返事はない。
カサッ。
足音が止まった。
翔太は息を殺した。
車のすぐ横。
そこに誰かが立っているような気がした。
数秒。
十秒。
やがて。
足音は遠ざかっていった。
翔太はようやく息を吐いた。
その直後。
助手席のドアが開いた。
「悪い、待たせた」
健太だった。
翔太は思わず振り返った。
「……お前、どこにいた?」
「え?」
「いや……」
翔太は言葉を止めた。
「どうした?」
「……何でもない」
健太はシートに座った。
「それより、早く行こうぜ」
翔太はエンジンをかけた。
ヘッドライトが再び闇を切り裂く。
道路脇の森が照らされる。
翔太は前方を見つめた。
「行こう」
車がゆっくりと走り出した。
そのときだった。
ヘッドライトの先。
道路脇のガードレールの向こうに。
白い服を着た人影が立っていた。
「……え?」
翔太の声が漏れた。
女性のように見える。
長い髪。
細い体。
こちらを向いているようにも見える。
「人……?」
健太が身を乗り出した。
「こんな時間に?」
翔太は速度を落とした。
白い服の女性は動かない。
「誰かいる」
健太が言った。
翔太は急に怖くなった。
「乗せる?」
「いや」
「でも、こんな場所だぞ」
「だから嫌なんだよ」
二人が話している間に。
人影が動いた。
道路のほうへ、一歩。
翔太は反射的にアクセルを踏んだ。
車が走り出す。
白い服の女性を横目に通り過ぎる。
その瞬間。
翔太はバックミラーを見た。
「……いない」
「何が?」
「さっきの人」
「見えないだけだろ」
健太も後ろを振り返った。
「……いない」
道路の先にも。
ガードレールの脇にも。
森の中にも。
誰もいなかった。
「歩いてったんじゃない?」
健太が言った。
「そんなにすぐ?」
翔太は答えた。
その直後。
カーナビの画面が消えた。
「……え?」
翔太が画面を叩く。
反応しない。
「壊れた?」
「さっきまで動いてただろ」
「電源入れ直せよ」
翔太がボタンを押す。
画面が一度だけ点滅した。
そして。
見たことのない地図が表示された。
二人は黙った。
「何これ」
健太が言った。
「分からない」
画面には、道路が一本だけ表示されている。
現在地を示すマーク。
その周囲には何もない。
翔太はスマートフォンを取り出した。
電波がない。
「……最悪」
「来た道戻ればいいだろ」
健太が言った。
翔太は車を反転させた。
さっき来た道を戻る。
これでいい。
そう思った。
だが。
五分走っても。
十分走っても。
見覚えのある景色が出てこない。
「なあ」
健太が言った。
「これ、戻ってる?」
「戻ってるだろ」
「でもさ」
健太が窓の外を指差した。
「さっきの木」
道路脇に、奇妙な形をした木があった。
幹が途中で大きく曲がっている。
その根元に、大きな岩がある。
翔太は見覚えがあった。
「……さっき見た」
「だよな」
二人は黙った。
翔太は車を止めた。
「そんなわけない」
「何が?」
「俺たち、同じ場所を回ってる」
「どうして?」
「分からない」
翔太は時計を見た。
午前一時十七分。
さっきから、十五分しか経っていない。
なのに。
二人とも、何時間も走っているような感覚があった。
「降りるなよ」
翔太が言った。
「誰が降りるんだよ」
「絶対に」
「分かってる」
そのとき。
後部座席から。
カサッ。
という音がした。
二人の体が固まった。
「……今の」
健太が小声で言った。
翔太は振り返らなかった。
「何か落ちたんじゃない?」
「後ろ、誰もいないよな」
「いない」
「じゃあ、何の音だよ」
沈黙。
カサッ。
また聞こえた。
今度は、はっきりと。
落ち葉を踏む音。
車の中なのに。
「翔太」
健太の声が震えた。
「外じゃないか?」
「……そうかもな」
翔太は自分に言い聞かせるように答えた。
「風で何かが……」
カサッ。
また。
今度は、車のすぐ後ろ。
二人は振り返った。
後部座席には誰もいない。
窓の外にも。
誰もいない。
ただ。
車の後ろの暗闇から。
誰かが歩いてくるような音がした。
カサッ。
カサッ。
カサッ。
近づいてくる。
「走れ!」
健太が叫んだ。
翔太はアクセルを踏み込んだ。
車が急発進する。
バックミラーを見る。
誰もいない。
だが。
そのとき。
翔太は気づいた。
「……おかしい」
「何が?」
「さっきの道」
「だから何だよ!」
「ガードレールが……」
翔太の声が震えた。
「反対側にある」
二人は黙った。
来るとき。
ガードレールは左側だった。
今は右側にある。
「……道を間違えた?」
健太が言った。
「そうだろ」
「でも、国道だぞ」
「……」
「一本道だろ?」
翔太は答えなかった。
その瞬間。
ヘッドライトが、前方を照らした。
白い服。
女が立っていた。
「うわっ!」
翔太は急ブレーキを踏んだ。
車が止まる。
二人とも息を止めた。
「さっきの……」
健太が呟く。
女性は動かない。
顔は見えない。
ただ。
こちらを向いている。
翔太はクラクションを鳴らした。
プッ。
女性は動かない。
もう一度。
プーッ。
その瞬間。
女性の姿が消えた。
「……え?」
翔太は目を疑った。
そこには誰もいない。
「消えた」
健太が言った。
「見た?」
「見た」
「本当に?」
「見た!」
健太が叫んだ。
二人は車内で固まった。
すると。
後ろから。
コン。
と音がした。
誰かが、車の後部を叩いた。
二人は振り返らない。
コン。
もう一度。
翔太はアクセルを踏んだ。
その瞬間。
カーナビが復活した。
画面に表示されたのは。
「現在地 河口湖駅」
「……え?」
翔太が声を上げた。
さっきまで樹海の中にいた。
それなのに。
ナビには河口湖駅付近と表示されている。
「どういうことだよ」
健太が言った。
翔太は答えられなかった。
車は走り続けた。
やがて。
道路脇に明かりが見えた。
建物。
街灯。
自動販売機。
人の気配。
二人はようやく息を吐いた。
「戻ってきた……」
健太が呟いた。
車を停める。
翔太はエンジンを切った。
二人はしばらく動けなかった。
「なあ」
健太が言った。
「さっきの女」
「……うん」
「本当に、見たよな?」
翔太は答えた。
「ああ」
「二人とも」
「ああ」
健太はスマートフォンを取り出した。
「……喉、渇いたな」
「自販機でも探すか?」
「いや、いい」
健太はスマートフォンを操作した。
「さっき撮った写真、送ろうと思って」
「誰に?」
「彼女。富士山の写真、欲しいって言ってたから」
「こんな時間に送るのかよ」
「明日の朝には見るだろ」
健太は写真フォルダを開いた。
河口湖。
富士山。
二人で撮った写真。
何枚かの写真を指で送っていく。
そして。
健太の指が止まった。
「……あれ?」
「どうした?」
「これ、いつ撮った?」
翔太が画面を覗き込んだ。
そこには、夜の森が写っていた。
「……知らない」
「俺も」
二人は黙った。
写真には、見覚えのない場所が写っている。
暗い森。
黒々とした木々。
そして。
その中央に。
白い服を着た女が立っていた。
翔太の背中が冷たくなった。
「……これ」
「さっきの女じゃないか?」
健太は答えなかった。
二人とも、画面を見つめていた。
写真の女性は。
こちらを見ている。
だが。
翔太は、別のことに気づいた。
「健太」
「何?」
「この写真……」
「うん」
「女の後ろ」
木々の間。
白い服の女性の後ろに。
もう一人。
黒い影が立っている。
人の形をしている。
だが。
顔がない。
「これ……」
健太の声が止まった。
翔太は写真を拡大した。
その瞬間。
スマートフォンの画面が暗くなった。
電源が切れた。
「……バッテリー?」
「さっきまで半分あったぞ」
二人は顔を見合わせた。
そのとき。
車の外から。
コン。
と音がした。
翔太は動かなかった。
コン。
もう一度。
車の窓ガラスを誰かが叩いている。
健太が小声で言った。
「……見ないほうがいい」
翔太は頷いた。
二人とも前を向いたまま。
ただ、じっとしていた。
やがて。
音が止まった。
翔太はゆっくりとアクセルを踏んだ。
二人は何も話さなかった。
それから数日後。
翔太は一人で、あの夜のことを調べていた。
青木ヶ原樹海。
深い森。
溶岩の大地。
どこを見ても似た景色。
音が遮られる独特の静寂。
磁気の影響。
迷いやすい地形。
そして。
夜の国道139号線で目撃されるという、白い服の人影。
彼は思った。
自分たちが見たものも。
何かの見間違いだったのかもしれない。
疲れていた。
夜だった。
視界が悪かった。
人間の脳は、暗闇の中で曖昧なものを人の姿に見てしまうことがある。
カーナビも故障しただけ。
道に迷ったのも、自分たちの判断ミス。
後部座席の音も。
何かが落ちた音だったのだろう。
そう考えれば。
すべて説明できる。
翔太はそう思った。
だが。
一つだけ。
どうしても説明できないことがあった。
あの夜。
二人が撮った写真。
そこに写っていた女性の姿。
それを確認するため。
翔太は健太に連絡した。
だが。
健太は電話に出なかった。
何度かけても。
出ない。
翌日も。
その翌日も。
連絡はつかなかった。
心配になった翔太は、健太の家を訪ねた。
そこで。
健太の母親から聞いた。
「昨日から帰ってこないの」
「……え?」
「会社にも行ってないみたいで」
翔太は言葉を失った。
まさか。
そんなはずはない。
あの夜のことが原因なのか。
翔太は何度も自分に言い聞かせた。
そんなことはありえない。
偶然だ。
ただの偶然。
そのとき。
健太の母親が言った。
「そういえばね」
「はい」
「昨日、健太から電話があったの」
翔太は顔を上げた。
「何て?」
「分からない」
母親は困ったように首を傾げた。
「電話には出たんだけど、何も話さないの」
「それで?」
「ずっと、カサカサって音だけが聞こえて」
翔太の背中が冷たくなった。
「それから」
母親は続けた。
「女の人の声が聞こえたの」
翔太は何も言えなかった。
「何て言ったんですか?」
母親は少し考えた。
「たしか……」
その言葉を口にするのをためらうように。
ゆっくりと言った。
「『もう一人は?』って」
翔太は、その場から逃げるように外へ出た。
その夜。
翔太は一人で部屋にいた。
窓の外は暗い。
スマートフォンを見る。
健太から連絡はない。
そのとき。
スマートフォンが震えた。
知らない番号。
翔太は出なかった。
しばらくすると。
メッセージが届いた。
写真だった。
翔太は開くことができなかった。
だが。
画面に表示されたサムネイルだけで分かった。
夜の森。
白い服の女性。
そして。
その後ろに立つ黒い影。
翔太の手が震えた。
そのとき。
部屋の外から。
カサッ。
と音がした。
翔太は動かなかった。
カサッ。
もう一度。
今度は近い。
廊下から。
誰かが歩いてくる。
翔太は息を殺した。
足音は止まった。
そして。
ドアの向こうから。
小さな声がした。
「……ねえ」
翔太は目を閉じた。
聞こえないふりをする。
「あなた」
声が続く。
「もう一人は?」
翔太は、そこで気づいた。
あの夜。
樹海で聞いた足音。
白い服の女性。
写真に写った黒い影。
そして。
健太の母親が聞いた言葉。
「もう一人は?」
もしかすると。
あの森で。
二人が見た「何か」は。
最初から二人を追っていたのではない。
最初から。
一人だけを見ていたのかもしれない。
翔太は、ゆっくりと窓の外を見た。
もちろん。
そこには何もいない。
ただ。
窓ガラスに。
自分の姿が映っている。
翔太は安心しかけた。
だが。
すぐに気づいた。
窓に映る自分の背後。
部屋には誰もいないはずなのに。
白い服の女が立っていた。
翔太は振り返らなかった。
振り返ることができなかった。
ただ。
窓ガラスの中の女を見つめていた。
女は。
ゆっくりと手を上げた。
そして。
窓の外を指差した。
翔太は視線だけを動かした。
その先。
遠く。
暗闇の中。
森などあるはずのない住宅街に。
木々が見えた。
深い森。
苔むした岩。
曲がった木。
そして。
その木々の間に。
健太が立っていた。
「……健太?」
翔太の口から声が漏れた。
窓の外の健太が。
こちらを見た。
そして。
何かを言った。
声は聞こえない。
だが。
口の動きだけは分かった。
「逃げろ」
その瞬間。
部屋の電気が消えた。
暗闇。
翔太は目を閉じた。
しばらくして。
電気が戻る。
窓の外には。
何もなかった。
翔太は震える手でカーテンを閉めた。
もう。
あの夜のことは考えない。
二度と。
青木ヶ原樹海にも行かない。
そう決めた。
それから数年が経った。
健太は今も見つかっていない。
警察の捜索でも。
手がかりはなかった。
翔太は、あの夜の出来事を誰にも話していない。
話しても。
信じてもらえないと思ったからだ。
ただ。
一つだけ。
今でも時々、気になることがある。
あの夜。
自分たちは。
本当に樹海から出ることができたのだろうか。
河口湖駅付近に戻ったと思っていた。
だが。
翔太が後になって調べたところ。
二人が車を停めた場所から、河口湖駅付近まで。
あの時間で移動するのは不可能だった。
カーナビに表示された現在地も。
ドライブレコーダーに記録された映像も。
その時間帯だけ、すべて消えていた。
そして。
最後に残っていた映像。
それは。
深夜の国道139号線。
ヘッドライトに照らされた道路。
車の前方に立つ。
白い服の女性。
その映像を見た翔太は。
あることに気づいた。
女性は。
道路の上に立っていたのではない。
道路の脇。
ガードレールの向こう側。
つまり。
樹海の中に立っていた。
そして。
車が通り過ぎる瞬間。
女性は。
車の後ろを見ていた。
翔太ではない。
健太でもない。
もっと後ろ。
誰もいないはずの。
車の後部座席を。
じっと見つめていた。
翔太は今でも考える。
あの夜。
車の中には。
本当に二人しかいなかったのだろうか。
もし。
あの森の中で。
二人が聞いた足音が。
車の外からではなく。
ずっと車内から聞こえていたのだとしたら。
そして。
あの白い服の女が探していた「もう一人」が。
健太ではなかったのだとしたら。
いったい。
あの夜。
翔太と健太は。
何を乗せて。
青木ヶ原樹海を後にしたのだろう。
その答えを知る者は。
もういない。
ただ。
今も夜の樹海ラインを走る車の運転手の中には。
時折。
こんな話をする者がいる。
ヘッドライトの先。
ガードレールの脇に。
白い服の人影が立っている。
車を止めてはいけない。
声をかけてもいけない。
そして。
絶対に。
バックミラーを見てはいけない。
もし。
そこに。
「もう一人」が映っていたとしても。
それは。
あなたが一人で走っていることを。
意味しないのだから。
この物語はフィクションです
この物語の舞台となった青木ヶ原樹海の心霊スポット情報、その歴史と真相はこちら。
